子供の頃食べたソフト麺。コシの強いうどんやもちもちしたうどんを扱ってきた自分には「よくわからない立ち位置」だったソフト麺。過去記事でも述べたように今は作ってくださる企業さんも減少しているのだとか。学校の給食です。できたものをすぐ提供する一般的な飲食店と違い、大量に均一の味のものを一定量用意するのが仕事の給食センターですから、自分が扱ってきた類いの麺類を取り扱うのは困難です。しかし、食育の観点から栄養価が高い麺料理を広く子供達に伝えていくのに十分すぎる活躍を見せてくれたソフト麺の存在を忘れたくないと思い、数十年ぶりに奇跡的に入手したこの1袋で、あの味を再現していきます。

レシピは故郷愛知県の公益財団法人春日井市食育推進給食会様レシピを参考に調整させていただきました。時間を置いても麺とよく絡むあんかけ。子供の頃に必要な栄養素を過不足なく備えた構成。しかも、大人も子供も大好きな麺類。よく考えられた給食だったと思います。大人になってから「コシがコシが〜」とか「もっちり感が〜」とか言っている方は、これを食べた経験があるから言えることだと思います。
ソフト麺は先にも述べたように上記基準を満たしません。ぶっちゃけ、今、お金を払って買いたいかというと別の選択肢に向かうはずです。でも、この味を知っていたからこそ、今の味覚基準が出来上がったのだとも思います。作ってみて思ったのは「懐かしさと、優しさ」でした。現在社会人には口にすることのない料理ですが、子供の頃、きっと楽しみしていた給食だったはず。カレーやハンバーグと並んで、いつも綺麗になくなる一品でした。
和食月間は珍しい、高級な料理を自慢する月間ではありません。正直、中華風のあんかけなんですが、どう考えても「和食」です。中国にこんな料理はありません。忘れないで欲しいのは「これを食べて欲しいという栄養士さん、調理師さんたちの思いやり」です。お金さえ出せば、食べたいものがなんでも手に入る日本。でも、限られた予算で、子供たちの嗜好と栄養価を同時に満たす一品を作り出すのは至難の業です。

「和」とは仲良く協力し合う気持ち、争いをやめる気持ち、調和が取れている様と辞書には書かれています。その通りだと思います。iketchは加えて心穏やかであることだと思います。他人を思いやる料理、争いを忘れさせる料理、そして他の国には負けない味と栄養のバランスを持った料理。これをみんなで心穏やかに食べる、それが「和食」なんだと思っています。カレーだろうがハンバーグだろうが中華麺だろうがパンだろうが、給食で出てくるものは「日本食、和食」だと思ってます。こんな時代だからこそ、日本から世界に発信していきたいですね。













