松重豊さんが個人経営の輸入雑貨貿易商「井之頭五郎」という役を演じ、一躍脚光を浴びたドラマ「孤独のグルメ」。色々ゲストも多彩で30分にも満たないドラマなのにすごい作り込んであって、僕も大ファンなんですが、概要は男がただひたすら飯を食うだけというもの。ただ台詞回しが独特だったり、音楽も軽快で見る人を前のめりさせる面白さがあります。
season3 十一話だったかな、新潟県のドライブインで「峠の釜飯」食べるやつ。五郎ちゃんが釜飯の中に季節がある、宇宙があるとか感動するやつ。あの回はもちろんいいんですが、一番グッときたのはその峠のドライブインで握ってもらったなんの変哲もない塩握りを、棚田を見下ろしながら頬張るんですよね。まだ、食うんかいと思ってると「米ってどこまでうまいんだ... コシヒカリ、その光に一寸のくもり無しっ!」って噛み締めるんですよ。もう、速攻おにぎり握りましたもん。
おにぎり、塩で握っただけですよ。他には何も仕事してない。尊いんですよね、米の甘さが。お腹に落ちる感覚が。戦う力がみなぎってきます。子供の頃、祖母が遠足にお弁当を持たせてくれる訳ですが、凝った料理はできませんから卵焼きとウィンナーと漬物、丸い白ごまつきの握り飯だけでした。貧相に見えるかもしれませんが、そのおにぎりの美味しかったこと。おにぎりだけで満足できる美味しさだったことを覚えています。「大きくなって、偉くなったら美味いものを食えばええ。今は腹が満たされとればええ」なんてこと言ってましたっけ。
美味しいもが食べられるようになりました。美味しいものが作れるようにもなりました。でも、輝くのは、一寸のくもりもないうまさの米で握った、おにぎり。それだけは間違いないなと、おにぎりを噛み締めながら思いました。
追記:
和食月間スタートということであえてやってみました。おにぎりってなんで米を握ってまとめただけなのにこんなに美味しんでしょうかね。贅沢な外食に疲れた時に作ってみてください。これが究極のご馳走だって気づくはずです。