「目玉焼き、何かける?」論争というのが定期的に起こります。目玉焼きにかける調味料(複数回答)は、しょうゆ:61%、塩:43%、こしょう:35%、ソース:22%の順で、何もかけないと回答した人は6%だそうです。(PR TIMES調べ/2024)
まぁ、調べ方も偏りがあるでしょうし、ご飯なら醤油、パンならソースなどと使い分ける人もいるでしょうから一概に「目玉焼きには、これ」というのは言えません。じゃ、ってんでみなさんお馴染みの簡単丼「ウインナー丼」にしたらどうかな? と考えたんです。ちょうど最近YouTube「まかないチャレンジ!」で大将が作っていたので、自分のとどう違うか、なにかけるのかを観察してみました。

大将のウインナーはハイブリッド調理で、軽く茹でたウィンナーのお湯を切り、少量の油を入れ目玉焼きを乗せ蓋をし仕上げるというもの。一方iketchはフライパンに少量の油を入れたあとウィンナーを入れ転がし、出た油に目玉焼きを作り大さじ1の水を入れ、ちょっと蓋をして仕上げます。どう違うんでしょうか?
決定的に違うのは「油感」。大将の方はお湯で加熱することでウィンナーに油と肉汁が留まってジューシーな状態に仕上がります。iketchの方はフライパンに油を引いて焼き上げるために、ウィンナーから適度に油と旨みが出て、香ばしさが引き立ちます。次にご飯の方の仕掛けを見ていきましょう。

ご飯のクッションに何を使うか? 大将は「キャベツに塩胡椒」、iketchは「刻みのり」でした。関東は結構、ソース文化なお土地柄で「〇〇焼きのっけ丼」みたいな丼は大抵「キャベツの千切り」が乗せられています。定食を丼に変えたから来た発想なのか、濃い味がご飯に強く干渉しないようにするための措置なのかわかりませんが、とにかくご飯にキャベツが載っています。個人的には関東の大衆食堂で出てくる「のっけ丼」での使用率が高いように思います。
iketchの場合は「のりといえば醤油」の発想。朝ごはんの定番です。焼き鳥丼や海鮮丼でもそうですが、ご飯がどうあがいても「勝てない」具材が覆っています。その強さを抑え込み、ご飯らしさをキープし香りを乗せるという器用な立ち回りを見せます。特に醤油との相性がよく、今回のように油感がバッチリ反映されるような丼には「わさび醤油(ここで登場!)」にして、爽やかさを出しぼんやりした味付けをしめるわけです。で、最後大将は「ソース」、iketchは「(わさび)醤油」で仕上げました。

食べ比べた感想なんですが大将のは「定食がどんぶりになった」感じで、iketchのは「朝食や(祖母が作ってくれた)弁当がどんぶりになった」感じがしました。面白いですよね。ソースってご飯に強い味付けじゃないですか? でも、キャベツがチェイサーがわりになっていて濃い味を上手に受け止めて、ご飯を食べさせてくれるんです。「ほほぉ〜 」となりました、定食を丼で食べている感じですね。iketchのはやはり刻みのりが具材を受け止めるセーフティネットになっていて、ご飯がグチャグチャにならないように働いています。おにぎりとおかずを交互に食べる安心感、そこにくどさを抑える「わさび醤油」が決め手となってどんぶりとして成立させているわけです。
どっちが正しいではなくて、よく食べる「ウィンナー丼」の数が人生の数だと思うし、否定するものなんてありません。ただ、あなたが作る「ウィンナー丼」をよく見つめてみてください。自分が辿ってきた人生がそこに反映されているかもしれませんよ。