今回はそんなに難しい料理ではありません。買ってきた安いステーキ肉をぶつ切りにして、塩胡椒で味付けし、おろしと味ぽんでまとめただけのスキレット料理。これにいつもの缶チューハイでいい気持ちになりながら「さて、何を語ろうか」といったところ。「まかないが美味い!」なんて言われることが最近多々ありますので(ありがたい限りです)、調理をしていく上での極意というか重要ポイントを語るブログにしましょうか。ですので、知っている方や鉄鍋ステーキに興味のある方はレシピまで飛んでもらってOKです。

ただ、あれやるな、これやれではただの愚痴になりますのでそういうのは嫌なiketch。調理・料理歴が活きるお話をしていきますね!
①目分量はしないこと
これ、僕らプロでも長くやっているとあるんですが「胡椒はね〜 こんなんもん」とか「塩は、これでいい」とかいってくる先輩いるんですよね。グラムや大さじで語れない人。こういう人の料理美味しくないです。「そんなの目安だから」とかいってきます。そうです。その目安が必要なんですよ。計りましょ、まず。マニュアル、マニュアル。大さじ1と小さじ1は違いますよ。
で、まかないなんて1人前を10人前にただ「物量増やしても」美味しくありません。調整しなきゃ、です。マニュアル通りでおいしくできません。その時必要になってくるのが味見。「何回やりますか?」と問われたらiketchは「美味しさを感じるまで」と答えます。もちろん、大前提としてマニュアルに従っていることが大事です。その上で「塩味が足りない」とか、「甘みが足りない」とかわかればいいと思います。キャベツひと玉を使っても出来上がる料理の味は全て違います。目分量をせず、マニュアルに従って作り、まず「味見」する、これ忘れないでください。
②切り方に無頓着にならないこと
意外に守れない人が多いと思います。結論から言うと「食べる人がいて、その人の食べやすい料理にする」と言うことなんです。特に筑前煮や青椒肉絲。これらは大きさと形を揃えないと味付けが良くても、がっかりな一品になります。僕も自分のレシピで「千切り」「小口きり」「乱切り」「みじん切り」などと使っていますが、その切り方で美味しさを感じるようにしてあります。青椒肉絲の材料の切り方が細すぎるとか、筑前煮の野菜の大きさが揃っていなくて「蓮根の食感しか感じない」とか、はたまた「人参の味は感じるんだけど玉ねぎとじゃがいもの食感はほとんど感じないカレー」とかこれは論外。調味料配分が良くても台無しです。
基本的に溶けて裏方に回る食材は細かくし(サルサの玉ねぎみじん切りなど違う場合もあります)、メインで食感を感じたい食材は同一のカットにすると言うのが僕のスタンス。で、これは慣れてきてからですが「ねぎの食感をここで出したい」とか「玉ねぎの旨みをここで出したい」とかは切り方や投入ポイントを変えてそのようにカットします。これでみなさんの料理が劇的に変わるはずです。「千切り」「小口きり」「乱切り」「みじん切り」の表記には意味があるってことです。
③味付けを複雑にしすぎないこと
iketchも若い頃はそうだったんですが「コクを出すにはバター」とか「味の素と顆粒だしの素で相乗効果」とか「香ばしさにはごま油を入れる」とか「デミグラスソースには赤ワインじゃね?」という思い込み持っていました。これ、まず捨てましょう(笑) 違うからです。無双だしを作っていた時に「奇跡のコラボ」と書きました。あれ、たまたまだったんです。あんなに上手く味と味が絡み合って旨みに変わることなんて通常、起きません。直感に基づく奇跡なんです。味は足し算です。シンプルにした方が素材の良さが引き立ちます。足せば足すほど味は複雑で重厚になり、たかが「グラタンやオムレツ」でも信じられないくらい「不味く」なります。
味付けが複雑になる程いくらいい食材を使っていても「何を食べているか」わかりません。調味料で食べている何かに成り下がります。焼き魚が美味しいのは、塩を振って遠赤外線で焼いただけだからです。それを忘れないでくださいね。
④焼きと焦げは違うと言うこと
僕も麻婆豆腐を作る時、陳さんのレシピで苦しんだんですが「ザージャンを焦げるまで炒める」と教えられたんです。で、実際焦がすまで炒めると、ただ「苦くて臭い」んです。いや、尊敬する陳先生の言うことなんだから間違いないはず。きっと、自分の解釈が間違っているんだと自省し作り続けたんですが、やはり焦がすと美味しくない。変えました、やり方。「焦がさないで、しっかり火入れすれば美味しいはず」と。正解でした。「焼ける」と「焦げる」は違います。「とりあえず、焦がした感があれば、OK」というのはやめましょう。焼き色をつける方法は食材によって違います。レシピ考案者の方も伝え方が上手い人とそうでない方がいらっしゃいます。基本、「焦がすと苦くて臭い」と言うことを忘れないでくださいね。
⑤牛乳なら牛乳、生クリームなら生クリーム、砂糖なら砂糖を使うということ
最後は「代用」についてです。たとえば糖分摂取を気にしている人がいます。作りたいケーキのレシピに砂糖90gと書かれています。「あたし、最近糖分控えているからパルスィート30g、で作っちゃお♪」って作ってみて、大失敗するやつです。ケーキ崩れます。そもそも形になりません。
美味しそうな気がしたり、健康そうな気がしたり理由はさまざまだと思いますが、そのレシピに(〇〇でも可)と書かれていなければ、そのチャレンジはしないでください。たとえば先にあげた「砂糖の効能」をあげると防腐効果、やわらかくする効果、泡立ちを保持する効果、発酵促進、食品の造形効果、デンプンの老化防止、タンパク質の熱凝固性改善があります。先にあげたケーキの例では、食品の造形効果、タンパク質の熱凝固性改善が達成できないからです。アスパルテームやフェニルアラニン化合物にはこの凝固作用がありません。砂糖って甘さだけじゃなかったということです。
鍋料理でいえばもつ鍋のキャベツを白菜に変えるだけでも鍋スープの甘みの感じ方が違いますし、入れるお肉を牛もつから豚もつに変えただけでも味わいがガラリと変わります。何かを足したり使わないように配慮したり... しなければいけない調理操作が俄然変わってきます。まずは「牛乳」と書かれていれば「牛乳」で作ってみてください。iketchはいつも言っていますよね「焼き魚は焼け」「煮物は煮ろ」と。こういうことなんです。そうしなければ「美味しくない」からなんです。
それを踏まえての「居酒屋風鉄鍋ステーキ」です。ステーキを焼くときは、あらかじめ肉に塩、コショウを振っておくというイメージがあるかもしれません。 ただ、早く塩を振りすぎると、焼くまでのあいだに肉から水分が出てしまう(秋刀魚の臭み、水分ぬきのような振り塩の効果)んですね。 ステーキの場合は塩、コショウは、焼く直前に振ることが重要です。人間の血液の塩分濃度は0.9%ですが、肉や魚のソテー、焼き物や炒め物などは、それよりも若干高めの塩分濃度1.0%がおいしいと感じる塩加減の目安です。 一般的にご飯と一緒に食べる煮物やシチュー、ラーメンスープなどは濃いめの味付けで、塩分濃度は1.5%が目安になっていますので、これを守っていただければ間違いなく「こんなに安い肉がうんま〜い!」となること請け合いです!

どうでしょう、お役に立ちましたでしょうか? 僕のようにずっと調理・料理に携わっていると逆に「当たり前すぎて、身についているから」出てこない大切な極意を見落としがちです。今回は日々の調理・料理の現場で無意識にまた、意識してやっている極意が「レモンサワーと鉄鍋ステーキ」の力で引き出せました(笑)。いろんなコメントをいただければiketchの中に眠っている、そして気付かないでやっていることを報告できるかもしれません。美味しいものつくっていきたいですよね! では、また。













