さて、店で包丁を研ぐ、というのは当然なんですがそういかない日もままあります。つゆのベースを作ったり、賄い作ったり、他のポジションフォローしたりと、思い描いていた段取りで進まない時もあります。仕事を家に持ち込むのが嫌いなiketchではあるんですが、包丁は公私ともに使う大事なアイテム。家でなら落ち着いて研げるので休日は道具のメンテナンスを楽しんでやってます。

休みに入る前日に思い立った包丁を研ぐわけなんですが、ま、流れで「明日は角上魚類さんだな... 」となるわけです! 僕のブログで度々登場する「角上魚類」さんは新鮮な魚介が手に入る魚屋さん。iketchはしょっちゅうお世話になっています。苦手な魚は捌いてくれますし、自分で捌きたいときは1本丸々買えますし、実に便利、しかも安い。当然、新鮮です。

白身は薄切りが基本なんですが... この銀色の薄皮を見せたい一心でやや厚めに捌きました。たまらないな、この旨み!

今回はカンパチ1本と散々迷ったんですが、ブリの柵があまりに美しかったので購入を決めました。これに辛口「帝松」本醸造を合わせて休日の夜をまったりと過ごします。ブリを堪能しながらいろんなことを思い返していたんですが、ふと、心に浮かんだのは..

ウヒョ〜 こたえられませんね、この至福。

「プロの料理人ってどんな包丁使ってるの?」

iketchの仕事道具、初公開といきましょうか!
上からダイヤモンド粒子を吹き付けた砥石(よく研げます)、魚の骨抜き、鱗取り、キッチンばさみ、中華包丁です。
中華包丁は「賄い包丁」と呼んでいます。若い頃に買ったものです。その下へ刺身箸、柳包丁、小出刃包丁で滅多に仕事で刺身に携わらないんですが、思い出したように練習しています。
小出刃の下はペティナイフ。細かい作業に向きます。フルーツの皮を剥いたり、飾り包丁に使います。その下が三徳包丁です。家でのメイン調理に使っています。
ここにはありませんが、メインで業務に使用するのはマイヤーシェフナイフ(牛刀)。取り扱いが軽くて使い勝手がいいので、店長もしょっちゅう使ってます(笑)。iketch伝家の宝刀です。

という過去の職場での新米ママパートさんの言葉。その質問回答をここでしますか。新米ママパートさんにはその時に「和食の料理人なら牛刀と柳はお金かけてるんじゃないかな。必ず使うものだし、一生使うものだから」と教えました。柳は柳包丁、通称「柳刃」と呼ばれている先が尖った「柳の葉っぱ」のような形をした包丁です。刺身を切るのに適していて、小ぶりの魚ならこの1本で捌けます。今回のブリも柳刃です。片場の包丁で身を切りつけた時に両刃のように力が均等にかからないため、切り口が綺麗で和食(刺身、お造り)に向きます。

もう一つの牛刀なんですが別名「シェフナイフ」と呼ばれていて、先輩たちも自分も店では基本これ1本です。やや先が尖った両刃の大きめな包丁で肉野菜なんでもござれ、の包丁です。iketchも職場では仕込みや野菜の加工、揚げ物のカットなど用途を選ばず使用しています。包丁自体が重いので硬い食材の切断や大きめの食材の加工に向きます。マネジャー寄りのiketchではあったんですが、チーフや先輩の言葉を大事に受け止めて包丁は選んでいた気がします。

で、「何を買ったらいいの?」なんですが、自分のする調理に適した包丁を買ってください、です。魚も捌かないのに「出刃包丁」買ったり、家庭用まな板よりも大きな包丁を買っても腐らせる(使用しない)だけです。家庭での使用なら「三徳包丁(万能包丁)」1本で十分です。調理に慣れてきて「こういう調理がしたい!」となってから包丁は揃えて十分間に合います。決して安い買い物ではありませんので(先輩の包丁は1本数万〜数十万するものだったりします。iketchも安物ではありますが仕事用の牛刀は¥8000くらいのものを使っています)、初めて買う包丁なら¥2000前後(関孫六とかヘンケルズとか色々ありますよね)の丈夫な1本を大事に使ってくださいね。

いつもお世話になるダイソーさんなんですが、100均の包丁はお勧めしません。柄(え/持つ部分)と刃(iketchはブレードと呼んでいます)の接合部分が弱く、壊れやすいためよく包丁を使う人ほど向きません。当然、刃もステンレスをグラインダーなどで加工しただけなのですぐ切れ味も悪くなります。結局、壊れやすい包丁を使い、怪我して病院行くならそのお金の分「いい包丁」に投資した方が良くないですか? iketchはそんな説明をした記憶があります。まだ、調理に不慣れな新米ママのパートさんでした。切れ味の悪くなった包丁を研ぐ時もそうです。両刃なら両面に均等に砥石を当てないと歪な切れ味になります。僕も「1箇所50回」とかならった口ですが、あくまで目安。刃に指を当てて研げてるか足りないかの判断をし、均等に砥石を当てます。

また、プロは砥石じゃなくシャープナー(包丁の切れ味を復活させる器具)もよく使いますが、あくまで緊急です。普段はちゃんと砥石で研いでます。間違っても、いい包丁を安いシャープナーでダメにしないようにしてくださいね。刃が潰れちゃいますよ! 砥石を使って(面倒でも)きちんと研ぐことで愛着も生まれるし、料理に対する思いも深まります。「包丁と鍋はいいのを使え」、これがiketchの本音。

包丁はあなたの手の延長線上にある指先です。「こうしたい!」を形にしてくれる道具であり、あなたの体の一部でもあります。ネイルアートがわかる女性なら、ものづくりが大好きな男性なら、この思い伝わりますよね? 

料理レシピを語るブログではありますが、こういう道具(自分の体の一部)を語るのも悪くないな、とほろ酔い加減で記事を書くiketchでした。

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