あけましておめでとうございます。今年もiketchと「流離の台所」をよろしくお願い申し上げます。さ、定番の挨拶はここまでにして、iketchの年末進行を振り返ってみましょう。クリスマス進行を抜けると怒涛の忘年会ラッシュが続きます。いわゆる年末商戦! もぅ、全く気が抜けません。段取り間違えてお客様の最後の締め日を台無しにするわけにはいきませんから、従業員もピリピリしてきます。売り上げも大事なんですが、お客様と向き合う今年最後の期間です。真剣勝負の毎日です。焼き鳥をメインに、仕込み、追い回しで立ち回るiketchも冷や汗の連続で、気がつくと1日が終わっていた感じです。
「お正月は郷里の一品で静かにまったり過ごしたいな」
そう思ったiketchは、子供の頃から馴染んだ「がめ煮」を作ろうと決めました。毎年、お正月の三が日、祖母が用意してくれていたがめ煮。そこには九州に生きる人々の知恵と工夫が息づいています。今回は店の従業員の方々や社員の方々に事前に味見をしていただき、お墨付きを頂けましたので、これを公式レシピとして紹介いたします。がめ煮については「How many がめ煮」をご覧ください。
だしは「玉露園 こんぶ茶」と「玉露園 しいたけ茶」の合わせ技です。兎角独り身だと大量に調理できません。特にこのブログでも紹介してきていますが「1〜4」人前って本当に難しい。ちゃんと味付けしようとすると「味が強く出過ぎて」食べ飽きてきます。当然、薄味にするとおいしくありません。市販のうま味調味料だと味に角が立ち、口が落ち着かない。さて、どうするか? 玉露園さんの技術力に頼ろうというわけです。大家族で大量に消費する場合は、セオリー通り干し椎茸とこんぶでだしを引き、そのまま調理に繋げていけば良いです。「少人数ならこれ」というレシピができましたので、紹介させていただきます。
まず、こんぶ茶:しいたけ茶=4:1の公式です。沸騰させたお湯の火を一度止めて、双方を加えてかき混ぜます。これで粗熱を取ればベースの「精進だし(厳密にいうとゼラチンなどを使っていますので違うんですが)」が完成します。これを「無双精進だし」と名付けます。九州醤油が手に入る方は使っていただきたいんですが、そうじゃない家庭がほとんどだと思いますので、みりんで調整して「地(スープ、つゆ)」に仕上げていきます。今回のレシピはこれです。
鶏肉は骨付きの手羽元、手羽中を使ってください。そして、旨みがスカスカにならないように、しっかり炒めてから、おつゆに投入すること。これと根菜類の旨みの力で「3日間おいしく食べられる、がめ煮」に仕立てます。年末の忙しい最中しっかり寝かせた、我が家のおせちが瞬く間に完成です!
「うん、おばあちゃんの作るやつだ!」
iketchの目も細くなります。おばあちゃん、時代が変わって調理の仕方も変わったけれど「美味しい!」は変わらないんだよって今なら言えます。敬遠しないで作ってみてください。骨付きが苦手なら鶏ももと少量の鶏ガラスープの素で味は近づけると思います。でも、「玉露園 こんぶ茶」と「玉露園 しいたけ茶」で作ってほしいなぁ。これで「宮崎のがめ煮(本来は福岡の郷土料理です)」が再現できます。〆はホカホカご飯に汁ごとかけて、食べてみてください。今年一年頑張れるパワーがもらえます。「今年の一発目、うまくいったな!」と箸を進めながら思わずニッコリしました。
歩いてゆくよ、これからも。郷土料理とともに。