はっきり言いましょう。埼玉に住んでて「弓削多醤油」さんを知らない人は「エセ埼玉県民」だと。大正12年(創立100周年!)、弓削多佐重氏によって創設された弓削多醤油さんは長く埼玉の地醤油(という言葉はないかもですが)として、埼玉県民の食文化をになってきました。「商売に羽織りを着せろ」との教えと「醤油は食品なので安心して口に入れられるものでなくてはいけない、醤油は調味料なのでうまくなければ意味がない」との二本柱を信念に「旨い、本物の醤油」を作り続けています。
弓削多醤油さんの「醤遊(しょうゆ)王国」はラインナップも豊富で、着る服を選ぶ感覚でお好きな料理にお好きな味を選べます(詳しくはホームページをご覧ください)。さて、醤油という調味料について、今日はちょっと詳しくいきましょうか。
まず、麹と呼ばれるものについてなんですが、小麦を炒ってひきわりにしたものと大豆を蒸したものを、種麹を加えて混ぜ合わせて作ります。こうして出来上がるものを麹と呼んでいます。そのあと天日塩を海水に戻したものに、麹を加え桶や樽に仕込み1年ほど寝かせます(仕込み)。その後もろみを風呂敷に包み丁寧に重ね絞り出し加熱して色と味を整え、検査、瓶詰め、出荷となります。弓削多さんが取り扱う「生醤油(吟醸純生醤油)」は加熱しません。ここポイント。火入れを行うとどうしても「香りが飛ぶ」という言い方を僕らはしますが、香りが消えてしまうんです(味と品質は安定します)。醤油といえば味はもちろんなんですが、その香りが美味しい。それを生かすためにあえて火入れをしていません。ただ、注意点。普通に作ればとにかく品質が安定しません(商品の中には火入れして仕上げたものもあります)。それは弓削多さんの製造技術や、少量仕込み、安定保管(冷蔵技術)が支えています。
他県や、まして埼玉ですらどこでも買える代物ではありませんが、味と香りが抜群です。今回は弓削多醤油さんが運営する「醤遊王国 川越時の鐘店」さんにお邪魔しました。購入したのは以下3点。
川越仕込み! 思わず買っちゃいました。お店のスタッフの方も親切に商品の解説や、日高市にある本店のことなど粒揃いの情報をくださいましたのでありがたい限りです。軽食や甘味も揃えて皆さんが訪れることを待ってくれています。今回は食べませんでしたが、今度来るときは醤油ソフトクリームを片手に「時の鐘」が見える最高のロケーションで川越の歴史、弓削多醤油の歴史に思いを馳せたいと思います。「次は、あなたの街にお邪魔します!」 では、また。
追記:
8月15日、本日は終戦の日。長かった太平洋戦争が終結した日です。マルトモさん、玉露園さん、海の精さん、弓削多醤油さん、深井醤油さん、松岡醸造さん、小山本家酒造さん、以下割愛させていただきますが、企業として太平洋戦争とどう向き合い、乗り越えてきたのでしょうか? 祖父も祖母も多くは語りませんでしたが、胸張って語れるものではなかったと思います。市井においては失われた命、日常、未来。社会においては枯渇する食材、企業の存亡。多くのものが当時の人たちにのしかかり、それでもそれを乗り越え、日本をここまで導いてきてくれました。これからも一緒に歩いていってくれませんか? 100年を乗り越えた企業様、信頼しています。いつも美味しいものをありがとうございます。また、異国の地で尊い人命が失われたというニュースが流れています... この日、僕は戦争のない未来を祈ります。