賄いで希望のあった豚汁。実は過去から豚汁はあまり登場していません。家で作る分には集中して作れるのでそれこそ缶チューハイ片手に楽しく作っているんですが、お店だと要所要所他作業と被るので大変です。カレーとかシチューとかそんなのはほったらかしでもなんとかなるんですが、豚汁はそうはいきません。今回、何が難しかったか振り返りました。

14、5人前の豚汁です。こんな感じで作っています。だし感がすごいです。これ、家じゃ作れません!

まず、大根の皮、にんじんの皮といった端材を使っていくんですが、火の通りや食感も加味しなくてはいけません。口当たりがボソボソしているとおいしさ感じませんからね。そこでピーラーで剥いた皮を太めの千切りにしました。これで箸でもつかみやすいし、サイズも揃えやすい。こんにゃくは誤発注で届いたカットの仕方が違う商品。きんぴら用のこんにゃくなので細かくカットされています。じゃあ、合わせやすいなと思いこれはこのままあく抜きへ。

ごぼうはスーパーで買いました。お店用のものは一時加工が施されカットとあく抜きは完了している特注品。お値段も嵩みますので、iketchとしては使いたくない。お客様用に取っておきたかったので、1本ごぼうを購入、カットあく抜きし準備しました。先輩が「里芋発注しとけばよかった〜」なんて嘆いていたので、こちらは僕からのサービス、スーパーで冷凍物ですが購入し加熱調理。豆腐は鍋用にカットしていて崩れたもの、ネギはやや黄ばんだもの、メインの豚肉は正規品の端材で(ただ、品質はめっちゃよかったです)お安いやつ1kg、でいくことに。ここまでの振り返り、

①カットの仕方はきんぴらカットにすることで解決

②ごぼうのあく抜きや、こんにゃく、里芋の下茹で操作はオーダーを作りながら空いた時間で準備し解決

③とにかく材料の置き場所確保が大変。多くのパンチングザルを重ねて1箇所に配置し解決

となりました。店の仕事をしながらの作業なんで当たり前なんですが、行ったり来たりが大変です。特に火を使う場所と加工する場所が離れているので卓上コンロを手元に準備し対応するという自分らしさが光ります!(褒めすぎ) 当然、作ったお客さま用の商品は運びますし、ドリンクも作りながらです。

さて、調理です。自分担当のオーダーを調理し終えると同時に火を使う場所に移動。鍋やフライパン調味料をあらかじめ準備した上で取り掛かります。温まったフライパンにごま油を流し込み、大火力で豚肉を炒め、ごぼう→大根・にんじんの皮→こんにゃくの順番で火入れしていきます。チラチラ自分のポジションのオーダーを確認しながらです、さっさといきます。大鍋に順次炒めた具材を放り込み、水を入れ加熱スタート! オーダーを片付けに自分のポジションに戻ります。沸騰までの時間を逆算し目安としてのタイマースタート! アクが浮いてくる手前の時間にしてあります。

タイマーがなってます。とりあえずすぐ出せる調理だけ完了させ、フロア担当者に提供をお願いし、火を使う場所に飛んで戻ります! 

「おお、いい感じ!」

バッチリアクが浮いてくるタイミングでした。手際よくアクを取り、旨みを追加するため顆粒のだしの素を入れ「だし」の旨みを確認します。大根・にんじんの皮からやはり、いい旨みが出てます。獣臭(じゅうしゅう/豚肉の臭み)もなかったので生姜は入れませんでした。里芋と味付け用の味噌、みりんを加え火力を落として煮込みます。ここまでくれば安心です。戻ります、オーダーが垂れていました。

オーダーを片付けて、火を使う場所に戻り最終仕上げです。仕上げの味噌と微調整の調味料で「賄い豚汁」完成です! 振り返ります。

④手間がかかるオーダーは仕掛かり(解凍、グリル焼き)状態のまま放置、クイックオーダーは即座に調理し、賄い(炒め作業)の時間を確保すること、お客様のオーダーは最優先(当たり前)で解決

⑤気付き用のタイマーを必ず動作させ、しなければならない重要作業の時間は必ずとることで解決

⑥味を染み込ませる時間、材料を柔らかくする時間は必ず取る、面倒でもこまめに味見することで解決

⑦味噌の追い足し、微調整(塩加減、甘み確認)などのこだわりは必ず付与することで解決

にんじんは鍋用の飾りにんじんを作った後の破片なので見かけが今ひとつですが、いいだしが出ますよ〜

「今日の賄い、豚汁だって!」

「えぇ! まじ〜 やった〜」

そんな声がアルバイトさんから聞こえてきます。同僚や先輩も

「うんま!」

でした。

後ほどアルバイトさんから、

「〇〇さん(常連さん)が『味噌汁のいい香りがするね〜』なんて言ってたんで、今日の賄い豚汁なんですって言いました。『いいな〜 !』っていってましたよ!」

ありがたい言葉の数々、ありがとうございます。そうやって喜んでくれること、笑顔になってくれること、それがiketchだけじゃなく、料理に携わる人々って嬉しいんです。大変でしょとよく言われます。大変なことにいつも取り組む自分でいたい、とiketchは思います。

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