スマホのバッテリー残量みたいに、自分の体力も可視化できれば良いのになぁと思うiketchです。ま、そんなできないことを悩んでいるより深夜までやっているスーパーで豆腐とネギくらいを買って帰ることぐらいはできるはず。そして、体内をアルコール洗浄し、エナジーチャージすれば翌日も体が動くってもんです(本当か?)。そこでどうにもならない日でも「これだけは頑張れ」と自分に言い聞かせて「調理にもならない、調理」をするわけです。

ネギと豆腐を切って出来合いのものにぶち込むだけ。これだけでも達成感が出るし、お酒が美味しく感じるものです。無理はいけませんが、自分のやっていることに小さくても、こだわりを持っていたい、そう教えてくれたのは姐さん。元々静岡県の調理師で、当時まだ珍しかった女性の板さんでした。熱海の大きな保養施設で腕を振るっていたんですが、体調を崩してからは名古屋で祖母の世話をしながら通院していました。僕が帰省すると、いつも大好物の手料理が用意されていて「姫きんぴら、マグロ刺し、季節の一品」それに「KIRINの一番搾り」というのが定番でした。
その日に下拵えをして作ったであろうきんぴら、僕の風呂上がり目掛けて柵を切り身にするマグロ、ギリギリまで冷蔵庫で冷やしたおひたしや、直前で温める湯豆腐。その一つ一つに姐さんの仕事の丁寧さとこだわりを見せつけられました。ラップ剥がして「はい」って人じゃなかったんです。もちろんスキルやテクニックも学びました。でも、一番大きく学んだことは「美味しく食べてもらうための一手間」、料理人の心意気だったと思います。

これでいいや... と思った時、「本当にそれでいいの?」と言ってくれてる姐さん。ズボラ一歩手前で踏みとどまれるように頑張ります。