やきとり... と名付けられているのにそうじゃないもののいかに多いことか。そもそも東松山の豚かしら串だってそうですもんね。今治のやきとりがギリ鶏皮だったくらいで室蘭やきとりは豚肩ロースでした。

今回紹介する「久留米のやきとり」もまた鶏肉ではありません。基本、串に刺してあれば「やきとり」というパワープレイのシロモノなんです。で、こいつが有名になった影の立役者が久留米の焼き鳥屋では当たり前の「唐突にざく切りのキャベツがオーダーしなくても出てくる」ってルールなんです。そりゃ、お客さんびっくりしますよね? 「頼んでないものが来たんだけど... (困惑)」 そして焼き鳥が焼き上がってくると、次々にそのキャベツの上に置かれていくわけですが...

これ、焼き鳥屋さんの無料サービスなんです!

テーブルに置かれた各店ごとの個性あふれるタレをキャベツにかければ、焼き鳥が運ばれてくるまでのつまみになりますし、焼き鳥がのったらのったで、焼き鳥の脂やタレがいいあんばいにキャベツに混ざり、さらにおいしいつまみに変身するわけです。

ダルム(しろ、てっぽう/豚の大腸)とアスパラ肉巻き串がど〜ん! 酢キャベツが病みつきです!

「久留米人、やるぅ〜(冴羽獠風/CV鈴木亮平)」

逸話があります。九州でも有数の劇場、博多座。その東隣に焼き鳥店「天下の焼鳥信秀本店」があります。大将安岡英雄さんは昭和39年(1964)に脱サラして屋台の店主となりましたが、勉強のため各地を食べ歩いていた時、大阪の鉄板焼屋で生キャベツのサービスに出合ったそうです。ソースをかけただけの生キャベツだったそうですが、鉄板焼にマッチしていて、これはいけると直感し、焼き鳥にソースは合わないので、試行錯誤の末にオリジナルレシピのポン酢を考案。お客に出したところ、大受けしたという話です。(マイナビニュースより引用)

「あ、こりゃ賢い」 キャベツが美味しくなるのはもちろんなんですが、調理師から一言。

「キャベツの食感もいいけど、これってチェイサー(水)の代わりになってんだ!」

焼き鳥って独特の弾力感で楽しむ串料理じゃないですか? 正直、そればっかだと飽きてきます。プリプリ、コリコリ、ムニムニ... 足りてないのは「パリパリ、シャキシャキ」です。まず、それを満たしてくれます。次に焼き鳥と言えば「アルコール」。

アルコールは摂取すると利尿作用でナトリウムと共に水分も排出されます。常連さんなんかでわかっている方はお酒を注文される時に「チェイサー(お冷/水)も」って言ってくださる方いらっしゃいますが、お酒を飲む時は「水」が必須。飲み慣れてない人は翌日喉がカラカラで目が覚めた経験があるひとも多いんじゃないでしょうか? 確かに水は欲しいけど、酒飲みたいし... そんな時はキャベツですよ。「噛みたい」という欲求と「水分が欲しい」っていう生理現象を「キャベツ」は同時に満たしてくれます。食事にお酒が絡む鉄板焼き屋とか焼肉屋で真っ先に「キャベツ」が出てくるのには理由があったわけです。

キャベツは僕らのわがままをその食感とポテンシャルで満たしてくれているんです。店主は「直感」でそれに気づいたということ。感心しました。勤め先でも揚げ物にちょんと乗せているキャベツの千切り。あれ、飾りじゃなくて「食感を変えるチェイサー」です。ぜひ、気軽に召し上がってみてください。きっとコロッケやメンチカツ、魚フライや唐揚げがもっと美味しく感じるはずです、もちろんお酒も。この久留米のやきとりのキャベツ、一般的には「酢キャベツ」というんだそうですが、僕は、

「久留米の酢キャベツ」

と呼んで差し支えないと思います。本年度助演男優賞は決定ですね! また、九州かよ... 

それっぽいっ! 久留米のやきとりが彩の国に出現です!

「てげうめっちゃよ〜 ありがとう〜(とても美味しかったです。ありがとうございました/宮崎弁でごめんなさい!)」

追記:遺伝子なんでしょうかね... 九州の料理は直感で作りやすいんですよね。暑い夏だからこそ、暑い国の料理を彩の国に運んできました。さぁ、皆で乗り切っていくぞ酷暑!

追記その2、肝心なこと言い忘れてるぞ(汗):

今回はアスパラ肉巻き串と酢キャベツを覚えてくださいね! 焼き上がったやきとりをドンドンキャベツの上に置いて久留米の「やきとり」を満喫してください。

「東松山勢、そろそろ本気出していくぞ! 負けてらんない!」 もうすぐ東松山花火大会ですね♪ 美味い焼き鳥とビールで花火を存分に楽しみましょ! ではまた。

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事