過去ブログで「美味い団子は所沢にあり」と散々謳ってまいりましたが、いけてませんでした。やはり、自らがチャンスを作ってあえて足を運ばなければいけないことを「日高サイボクハム探報」しかり「川越めぐり」しかりで実感したんですね。「あえて」いきましょう、「美味い団子」を求めて! フラワーカンパニーズ「深夜高速」をBGMに、お気に入りの赤い傘を持って、黄色いN-VANで。

そんなわけで長らくご無沙汰していた所沢市に行ってまいりました。1本¥120円の団子を食べるためにです。ファルマン通りのコインパーキングに車を止め(バイクで移動していた頃は路駐で問題なかったんですが、車だとそうもいきません)、御幸町盃横丁のすぐ近くにある「所沢名物 焼き団子 奈美喜屋」さんを目指します。
「所沢って雨のイメージないな、珍しく雨か(台風15号の影響です)」
そもそも埼玉って雨があまり降らない国ではあるんですが、所沢に至っては、
「え、雨ってなん? 見たことねぇべ(お前、所沢市民に怒られるぞ)」
というくらい雨が降らない街で有名です。雨ごいするより歌手の渡辺美里さん(西武ライオンズの大ファンで、埼玉でのコンサートは常に大雨になるくらいの雨女)でも連れてきた方が手っ取り早いんじゃないか、っていうくらい(本当に、怒られるからやめな)太陽に愛される街です(今年の夏もお疲れ様でした)。
が、雨。多分iketchも雨の所沢を歩いたのって初めて(バイクで通り抜けたことはあります)なんです。
「なんか、いいな...」
ピーカンで晴れてる所沢もいいけど、グレーに曇った所沢も悪くない、って思いました。そんなことを考えながら裏通りを歩いていくと、よかった、やっててくれた「奈美喜屋」さん(お店の中には歌手、加山雄三さんの色紙や昭和のまま時を止めた懐かしい漫画がたくさん置かれています!)。お客さんが来るとご主人が焼き台に墨を転がして火をつけ、扇風機(年季もの)で火力を上げます。そしてその日に必要分の団子を入れているショーケース(ガラスと木製のこれまた年季もの)から必要数を取り出し、大きなうちわで煽りながら団子を焼いてくれます。手捌きも見事で、ガス火と違いコントロールの難しい炭火を上手にコントロールして今回は5本でしたが、同じ時間で焼き上がるように仕上げます。

醤油は二度付なんですが、一度つけた後再び焼き台に乗せ絶妙な焼き加減でもう一度醤油をつけて仕上げます(いわゆる焦がし醤油です!)。以前も「挑戦! 所沢焼き団子」の記事で書いたんですが味は「醤油味」一択で、甘辛とかそういうのはありません。ご主人が「おまちどう様」と熱々の団子を、これまた手際良く包んで手渡ししてくれました。お次の方は常連さんかな「親父さん、20本ある?」とか言っていたんで。

家で早速開封し、まず一本。
「これこれ、これを買いに行ったんだよ、所沢まで!」
言葉が思わず笑顔と共にこぼれました。団子を1個づつ頬張りながら、目が細くなっていくiketchです。
「うめぇ、間違いねぇ。この素朴な味」
3本目からは無言でガッツリいきましたよ。
「酒じゃねぇんだよ、お茶かラムネ!(お茶でいただきましたっていうか、うるさい)」
名残惜しく全てを平らげ、お茶をズズっと。お腹一杯です! 遠かったけど、行ってよかったな所沢。この(レベルの醤油味焼き)団子食えるのあそこら界隈だけだからな、と感動もひとしおでした。また、行こう。でも、ご主人高齢だからどうなっちゃうのかな、あの手捌き、数年で習得できるものでもないから... 誰か受け継げないかな...
ちょっとセンチメンタルな気分に浸りながら、ご馳走様と手を合わせたiketchでした。