「温故知新」とは以前学んだことや、昔の事柄を今また調べなおしたり考えなおしたりして、新たに新しい道理や知識を探り当てること。 「故ふるきを温たずねて(温あたためて)新しきを知る」と読み下します。2500年の昔に孔子がいった言葉です。孔子は、紀元前6世紀ごろ中国の魯という国に生まれた人。 学問によって民衆に広め、それによって国を平和に治めるという儒学思想を説いたことで名を残しています。 彼や彼の弟子の言動を孔子の死後、弟子がまとめたものを「論語」といいます。ご存知の方も多いのではないでしょうか。僕の好きな言葉の一つです。「先に進めなくなった時、詰んだと思ったとき突破口は過去にある」と今でも信じています。そして、その通りだと思います。今月は飲食店での犯罪行為にとても心が痛みました。多くの人に喜んで欲しいから、楽しんで欲しいから、頑張って欲しいから飲食店は今日も頑張っています。お金を稼ぐだけなら、仕事なんていくらでもあります。もてなす心、他人の喜びを自分の喜びとする心、そんな奉仕の心がなければどんな仕事だって成立しません。特に飲食は顕著です。「旨いうどんだね」「旨いそばだね」「いい店だね」「いつも繁盛してるね」「コロナで大変だけど、頑張って」と言われた時、涙が出るほど嬉しかったです。みんなわかってくれている、飲食に未来はあるって。我々飲食はそんなみなさんと共に歩んでゆく。後方支援しかできないかもしれないけれど、みなさんが立ち上がって、前を見てくれるために我々も前を向いている。「美味しかった、ごちそうさま」その一言に支えられてやってこられたんじゃないか、と僕は思います。だから行き詰まった時、自分が何故今の道を歩いているのかを考えてみます。素朴で美しい信念があることに気づくはずです。紹介してきた料理たちだってそうです。過去から続き、さらに続いていく未来への一皿には先人の知恵と思いが乗せられている、と信じています。

「美味しいね、また食べたいね!」は明日への希望です。

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