麺の仕事を20年もやってると、こだわりって出てくるものなんですね。再現したかったのは、全然効かない扇風機の風にあたりながら、汗をかきつつ、胡椒をたっぷりかけて食べた、あの中華そば。今時のラーメンのように山盛りのもやしや、海苔に覆われたものではなく、背脂まみれのものでもない。醤油味なんだけど、そばやうどんと明らかに違う旨みにあふれたスープで食べる中華そば。それが作りたかった。もちろんラーメン、中華そばは専門外です。だから、1からやるしかない。それに紹介する以上、みなさんが作れるものじゃなきゃいけない。色々な制約にとらわれながら定めたテーマが3つ。①スーパーで手に入る食材で作ること(輸入品とか、特殊な材料を使わない)、②澄んだスープであること、③飲み干せるスープであることです。麺料理って、コシだのスープだのと正直なところ「うるせぇな」と思います。言葉が汚くて申し訳ないですが、結論、バランスです。ふにゃっとした麺でも美味しいのはありますし、麺にコシがあったところでスープが残念なら目も当てられないです。麺もスープも具も、全部美味しくて完成した麺料理だと思います。そこで①に関して、麺は細麺の生、ベースは創味のシャンタン、ここは譲れません。これが骨格です。②に関して、スープは濾して雑味を無くします。③飲み干せるように調味料を調整しますが、薄くならないように配慮します。結果、とても美味しい昭和の中華そばができました! そう、¥400くらいで食べた、食堂のあの味に少しは近づいてんじゃないかなと思います。優しい味わいだから、胡椒をたっぷりかけるもよし、チャーハンや、餃子と合わせてもスープが美味しい。何より、飲み干してからの、冷たいお水が美味しい! そんなのできましたよ。「いらっしゃ〜い、空いてるとこど〜ぞ〜」なんて声が聞こえてきそうな、昭和時代の食堂で食べた中華そば、いってみましょう!

澄んだスープが綺麗です。味はしっかり醤油味!
熱々の中華そば。胡椒をたっぷりかけてどうぞ!

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