5月の紹介からずいぶん経ちましたが、今回は「塩」でいってみます。後回しにしてきたのには理由がありまして... 実は僕「塩」の方が好きで、オーブンがあった頃はほぼ「塩」だったんです。理由は楽だから。もし、オーブンがあるなら下にアルミホイルを敷いて、串に塩胡椒をして普通に焼けばOKです。結構、脂が垂れますので必ず敷いてください。ガスコンロにグリラーのついたものならいっそ鉄串に刺して焼くのもありです(ただ、串で火傷しないように注意が必要です)。これだと余分な水分や脂分を蒸発させたり落としたりしながら焼き上げるので歯応えよく仕上がります。塩を振ると水分が出やすいのでこれをどうするかが鍵になります。なので、フライパンで焼くとこの水と脂が曲者で、串がそれを吸っちゃうとベタついて美味しくないんです。前回の「たれ」の時みたいに煮込んでから炙るパターンが使えるといいんですが、「塩」の場合は味も落ち、べちゃっとした上に食感も焼き鳥じゃないんですよね。そこで今回はフライパンしかないと仮定して、いかに「焼き鳥の塩味」に仕立てるかに挑戦します。実験は2つで、1つは串から出る油を吸いながら仕上げる方法。もう1つは「塩だれ」で煮込んでバーナーで炙る方法です。前者は塩胡椒したものをキッチンペーパーで吸わせながら焼き上げ、後者は味付けせずに液状の塩ダレで煮込み、最後バーナーで炙ります。さぁ、どうなるでしょうか? 結果は塩ダレでした。まず、前者はやはり脂分とともに旨味が落ちてしまい、カリッと食感はいいんですが旨味が塩のせいで流れ出てしまう。塩ダレの方は焼肉用のタレを酒で希釈して使いました。素材の旨味と内部のしっとり感、香ばしさは実現できましたが、カリッと感が足りない感じで難しいですね。グリルを使った際の熱の伝わり方は「放射」と「対流」になります。 高温の直火で素材を焼き上げるため、表面がパリッと香ばしくなり、短時間で焼きあがるわけですね。調理方法には意味があるんだよってことに改めて気付かされた実験でした。

塩胡椒だけです。カリッとしていますが、時間をかけて焼くため旨味が落ちてしまっています。
塩ダレです。旨味十分で、香ばしいですがカリッと感に欠けます。もう一度焼いてもいいかもしれませんが手間が多すぎてNGですね。

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