肉じゃがも関東風、関西風、我が家、オリジナルと色々紹介してきました。肉とじゃがいもをメインとした煮物で、老若男女問わず愛されるお袋の味のベストセラーです。で、iketchはふと思いました「何処の国(郷里)の料理なんだろう?」と。いつもの農林水産省「うちの郷土料理」で検索すると「呉の肉じゃが」という表記がありました。「広島だったんか〜」 

「肉じゃがは呉の名物じゃけぇ!」 とっても素朴で、ご飯が欲しくなる肉じゃがです。

「一般的な「肉じゃが」といえば、じゃがいも、牛肉、玉ねぎをメインに、にんじんや絹さやなど家庭によって異なる具材をしょうゆと砂糖で味付けした煮物であるが、「呉の肉じゃが」はじゃがいもにメークインを使用し、牛肉、糸こんにゃく、玉ねぎと決まった具材で作られるのが特徴。肉じゃがのルーツは、かつて東郷平八郎元帥がイギリス留学中に食べた「ビーフシチュー」を艦上食として作るようにと部下に命じ、調理員が当時貴重だった赤ワインのかわりにしょうゆを入れるなど試行錯誤を重ねた結果、「甘煮」が生まれたのではないかという説がある。」(うちの郷土料理/農林水産省) 戦時中は海軍の料理として作られていたんですね!

まさかのビーフシチュー、まさかの軍隊飯(ミリメシ)、まさかの東郷平八郎、赤ワインを醤油に代えるそのセンス! 何もかもが驚きです。今月は弓削多醤油さんをスポットで紹介しますが「そりゃ、醤油入れたらそうなるよ!!」、日本の味にしかならない! 呉市は戦時中、帝国海軍の軍港や軍艦の製造工場がありました。そう「戦艦 大和」が生まれた軍港です。潤滑油でお馴染みKURE 556の「呉工業株式会社」(知らない主婦の方、学生さんすみません。自宅に1本はあると思いますよ、556)さんの、あの街です。なんか鳥肌立ってきた。お国のために命をかけて戦う兵隊さんへと作られた料理だったんですね。牛肉やじゃがいも、玉ねぎなど材料も栄養価が高く、甘辛醤油味という日本人に馴染んだ味。お袋の味というより、戦地へ赴く兵隊さんを支える日本の味だったんですね、感動です。

奇しくも今日は「広島に原爆が投下された」日です。太平洋戦争中の1945(昭和20)年8月6日午前8時15分、広島に原子爆弾が投下され14万人という信じられない数の人が亡くなりました。今月紹介予定の長崎県郷土料理や今回の広島県郷土料理を取り上げたのにはそんな経緯(いきさつ)もありました。

平和だからこそ食べられる美味しい料理。大事にしていかなきゃいけません。守っていかなきゃいけません。

亡くなった方々に黙祷を捧げながら「今、日本ってこんなになってます。申し訳ないです... 胸張れる状態じゃありませんが、頑張っていきますね。思いを紡いでいきますね... 」 そう、思ったiketchでした。

追記:

今回の肉じゃがは知人からいただいた埼玉県産じゃがいもと埼玉県醤油部門代表、弓削多醤油さんの醤油とを軸に仕立てました。メークインではありませんが、過去の調理技術をもとにじゃがいもをスチームし、煮汁に漬け込む方法で作っています。素朴でご飯が美味しい「肉じゃが」に仕上がりました。実にこの手法で調理したのは25年ぶりになります。美味しいものが調理できる、食べられる明日が続きますように。

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