越生梅林は、埼玉県入間郡越生町にある越辺川沿いに広がる梅林です。水戸偕楽園、熱海梅園と共に「関東三大梅林」の1つとされています。埼玉在住にも関わらず(近隣に住んでいたことがあるにも関わらず)、近くて遠い存在だった「越生梅林」に思い切って足を運びました。ところが、生憎の雨模様、かつ休園日。僕はがっかりしてトボトボ来た道を引き返しました。帰り道、自分より明らかにいいカメラを持った男性に「今日は休園日みたいですよ、残念です」と声がけしたところ「イベントや露店などはやってないけど、駐車場も無料開放してくれてるし、中には入れるよ。行かないか?」とまさかの回答が! そういえば駐車場の詰所に従業員はいなかったし、車も自分のを含めて1台しか止まっていなかったな。でも、入れるって? いろいろ「?」になりながら男性の後をついていくと「壮大な梅の楽園」が広がっていました。


「... 」
絶句です。息を呑むような光景が広がっていました。カメラを構えるのも忘れるくらいしばらく立ち尽くしていました。「梅の真ん中にいます。」 それしか言葉が出てこない。目に映るもの全て色とりどりの梅、梅、梅、梅! 赤、白、ピンク、濃い赤、淡い白、黄色... 苔の生えた梅の木を見入る自分の次に出てきた言葉が「樹齢何年なんだろう... 」 古の時をこえ、ここに存在し続け、今もなお美しい花を咲かせる、凛とした梅の佇まいに圧倒され続けました。時期は「梅祭り」と重なり、本来は人の声も賑やかな「越生梅林」がわずか数名の梅を見たいもののためだけに見せたその姿に思わず合掌しました。「ありがたい、ありがたい、これは奇跡だ! 貸切だ... 」 もうそこからは狂ったようにシャッターを押し続けました。滞在時間1時間余りで撮影枚数は軽く100枚を超えました。美しいとか、粋とかって言葉出てこないんです、こんなに綺麗だと。恐ろしいくらいに押し寄せてくる香りと色。こんな体験は初めてです。




「この実を調理させていただくんだな... 」
身震いしました。「iketch大丈夫か? 覚悟決まったか?」自分が声をかけてきました。やりましょう、もう引き返せない。インスピレーションの海に溺れながら掴むのは藁か、梅の枝か。答え、出していきましょうか。