人間ですから、そりゃ、いつかはお別れが来るってわかってます。わかってますけど。あったことも当然、お話ししたこともない先生のレシピに幾度となく感動して、自分のものにしたいと休日はほぼ麻婆豆腐だった時期もあります。何度もレシピを見て、動画も見て、手の動きや、所作、ユーモアに富んだトークまで目を皿のようにして見ていました。うまくいかなかったときは「きっとこんな味じゃない、先生は鉄人だから自分の作り方がまずいんだ」そう思って何度もチャレンジしました。今の麻婆豆腐が出来上がったとき、涙が溢れたこと覚えています。「あぁ... 美味しい! きっとこれですよね、この味ですよね、先生が作ってらっしゃるの!」、市販品と全然違う、辛くて美味しくて、見栄えも美しい、その出来栄えが自分の宝になりました。3月11日、先生が旅立たれました。携帯の通知を見たとき、僕の時間が止まりました。しばし目を閉じて黙祷を捧げました。日本の中華料理普及に尽力していただき、本当にありがとうございました、心からお礼を申し上げます。先生の訃報を聞いたとき、多くの料理に携わる人がきっと先生のレシピを作り、哀悼の意を表したのではないでしょうか? 僕は忘れない、本当のプロが作った麻婆豆腐。

陳さんの中華料理の美味しさを多くの人が未来へ繋いでいけますように。

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