まずは、料理研究家、結城貢先生にお悔やみ申し上げます。「料理は愛情!」という言葉、結城先生の言葉なんです。若い頃は調理と料理の狭間で悩んでいた時期がありました。でも、この言葉にすごく救われました。料理は真心込めて作れば、多少前と味が違っていたって構わないと。正しくはありませんが、そう振り切れました。特にまかないがスランプに陥っていた時です。もう、何作ってもクルーがまかないを残すんです。だからその時期はカレー、シチューとかわかりやすい料理や、お店で出している商品の廉価アレンジばかりで乗り切っていました。でも、調理は誰がいつ作っても同じじゃなきゃダメなんですよね。ビッグマックも毎回味が違っていれば安心して買えないですものね。だから、本来使うはずじゃない食材で無理やり「調理」していたんですね。僕は、調理と料理を混同していました。調理と料理、どちらに寄せればクルーは喜んでくれるんだろう... とにかく毎日好きなはずの飲食業が憂鬱で仕方なかったです。「まかないなんだもの、食べる人の笑顔が見たいから頑張るんだ」でいいじゃないって思えるようになって、家庭的なレパートリーも増え、質も上がりました。調理は違いますよね、使うべき材料で味や手順がブレないようにしないといけない。最近の料理本見てると、料理なんだか調理なんだかはっきりしないものが多い気がします。家庭で作ることを前提とするなら、手に入る食材、購入しやすい価格、家庭用調理器具を使う前提、家庭用熱源など考慮してあげないとダメだと思うんです。つまり、調理可能(再現可能)でなければならないと... 難しいですよね。流離の台所では1DKのキッチンで調理可能なレシピをイメージしてレシピを組み立てています、もちろん調理道具も一般家庭にありそうなものを考えてます。なるべく手元にあるもので、簡単な方法で調理できるようにレシピも勉強していきたいです。「調理は理論」そう思えるようになったのは結城先生のおかげです。きっちり身につけたレシピと技術で、食べる人を思って作ることできればそれが最大の「料理は愛情!」なんだと思います。

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事