以前、先付けなんかも紹介したんで会席料理の取りを飾る「ご飯もの」のアイデアを一つ。会席料理の基本は一汁三菜で、先つけ、吸い物、お造り、煮物、焼き物、オプションで揚げ物、蒸し物、酢の物ときてご飯、味噌汁、香の物、水菓子で結びます。

料理の出され方は本膳料理(室町時代に確立された形式を重視する武士の食事、宮廷貴族の影響を受けたとされる)と同じように、一の膳、二の膳といくつか膳が出ますが本膳ほどの堅苦しさはなく、その時代の嗜好を反映し、新しいものを取り入れて宴会向きになっているようです。なお懐石料理(茶道の流行により広まった料理形式で禅宗の影響が大きいとされている)風にお客様の食べる頃合いを見計らって一品ずつ供する形もあり、この場合は茶席の懐石とは違い、飯と汁は最後に出され、料理は一人分ずつ器に盛られ、料理の種類や品数も多くなります。なんで、ご飯が最後なの? となるんですが、会席料理とは饗応料理(酒食を出してもてなす)なので人が酒を飲み語らい、楽しめるようにとの配慮から品数多く、お腹に溜まるもの(ご飯、味噌汁、香の物)が後に来るようになっています。大トリがデザート(水菓子)です。ちなみに懐石料理ではご飯と汁物、向付(刺身や酢の物)が一番最初に出ます。これはご飯や汁物で体を温める意味があるそうです。久しぶりですいません、これ調理師試験に出るやつです。

さて、うんちくはこのくらいで鮭の混ぜご飯と味噌汁をいっておきましょう。今回は鮭に一仕事してあります。一緒に炊き込むとどうしてもパサついてしまう鮭。これをしっとりした食感にしてご飯に混ぜ込むため酒と昆布でボイルしました。昆布を入れ水の浸透圧を変えて旨味が抜けないようにしつつ、酒で柔らかくする方法です。しゃぶしゃぶの昆布だしと同じ発想ですね。でボイルしたものを混ぜ込んでみました。ちょっと割烹の味わいです。あとは当たり前のお味噌汁と香の物があれば十分です。ハレの日のご飯にぜひ、ご利用くださいね!

かつお節と塩昆布、ごま油でご飯は味付けしてあります。そのご飯にしっとりふっくらした鮭のほぐし身が絡みます。宴会料理の最後を飾る美味しいご飯ができました!

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