姐さんは静岡県の調理師であり、僕がこの道を進むきっかけになった方です。正確には叔母に当たるんですが、色々な形で導いてくれました。病気で亡くなられましたが、死してなお僕に大きな影響を与え続けてくれています。背が低くて、負けず嫌い。でも、料理の腕はピカイチで、どんな小さな料理にも独自のこだわりを見せてくれた板さんでもあります。亡くなってそりゃあもう、何年もたつんですが、思い出すのが「れんこんのアク抜き」です。僕は姐さんのきんぴらが好きで、作っている姿を幾度となく見てきました。ある時期、酸っぱいものが食べられないときがあって、漬物すらだめだったんです。姐さんがその日、きんぴらを作っていたんですけど、キッチンにお酢が置いてあるのが気になって仕方なかったんです。さて、薄切りしたレンコンが入った器には水が貼ってあったんです、アク抜きですね。姐さん突然、お酢を入れちゃったんです。見てましたよ、僕。「姐さん、酸っぱいのは嫌だよ〜」なんてごねてたら、「〇〇くん、れんこんは酢でアクを抜くんだよ。それ、ちょっと舐めてみ(て)」っていうんです。「うん、酸っぱくない!」て驚くと、優しい笑顔で「そう、ちょっと入れるだけで白いれんこんになるの、面白いね!」。何十年もたって調理師試験受けた時に「れんこんのアク抜き」が問題で出たんです。迷わず、酢水って選択しました。「〇〇くん、やったじゃん! 点数もらっとき!」なんて、解答用紙に姐さんの顔が浮かんで、目頭熱くなりました... 「姐さん、ありがとう」って。試験合格しました。思い出の調理方法、思い出の料理、難しくて何度も挑戦した料理。姐さんにはまだかなわないけど「どう、僕頑張ったよ」って胸張りたい料理です。この白くて綺麗なきんぴら、「姫きんぴら」って名付けました。
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姫きんぴら
ごぼう1/2、れんこん1/2、ニンジン1/2、黒胡麻少々、ごま油大1、白だし大2、みりん大1、輪切り赤唐辛子1本分
1:ごぼうは細切りにし水で10分アク抜き、れんこんも1ミリ大の薄切りにし酢水でアク抜き、ニンジンも千切りにして水にさらす
2:フライパンにごま油を入れ、中火で加熱。野菜を入れしんなりするまで炒める
3:白だし、みりんを加え水分がなくなるまで炒め合わせる
4:器に盛り付け、黒胡麻をふって完成